八重山毎日新聞論壇(6月20日付)

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 本日の八重山毎日新聞論壇には、蔵下芳久氏による 竹富観光センター水牛車営業所移転問題についての私見が 掲載されています。  竹富島における水牛車営業所移転問題を独自の視点で捉え、 論理を展開する蔵下芳久氏は、現在石垣島にお住まいの有識者です。  竹富公民館協力費やリゾート問題の取り上げ方について、 島内に住む者としては多少の異論はありますが、 総じて蔵下氏が述べている、「現代における病」が少しづつ 竹富島を蝕んでいることや、竹富島の理念である 「うつぐみの精神」に対してエールを送られている点については、 私たちは真摯に受け止め、答えていかなければなりません。 (ta) 竹富島の水牛車ステーション問題を考える。 蔵下芳久  竹富島にある(有)竹富観光センター(以下竹富観光)が、島のほぼ中央にある竹富小中学校、保育所、まちなみ館、診療所、郵便局と竹富島創建の神を祀った清明御嶽(マイヌオン・始番狂言では「島ぬ元」)の聖域近くに、観光水牛車ステーションを強行移設したことが、うつぐみ(慈しみ)の精神で知られる竹富島の共同体に、不気味な不協和音をもたらしているので、私見を述べたいと思います。 資本の魂  水牛車の移設問題は、うつぐみの精神を大切にしている竹富島に商品・貨幣の論理と資本の魂が入り込んで、伝統的な共同体的人間関係に、複雑怪奇な対応を余儀なくさせています。  『聖書』の「ヨハネ黙示録」が、「彼ら(諸商品のこと)は心を一つにして、おのが能力(ちから)と権威とを獣(貨幣のこと)にあたう」と述べているのは、特殊の商品である資本の利益追求が、あたかも人間に生まれながらにもっている自然的な権利に傾倒して見えることによって、資本の神秘的な性格を隠しています。  つまり、商品・貨幣や資本は、人間がつくり出したものでありながら、人と人の関係をモノとモノの関係に変えるという神秘的な性格を持つがゆえに、人間の目をくらますことができるのです。  それゆえ、個人的には好人物であっても、自らが没落したくなければ、資本家としては「全精神が直接眼前の金もうけに向けられ」(マルクス『資本論』)ざるを得ないのです。  本件の場合は、住民の水牛車ステーション移設に反対する意思表示に対して、竹富観光の経営者が、どうして自分の楽しみ(利潤追求)に、他人が反対するのかがわからなくなっているのは、資本の魂にひざまずいたがゆえに、うつぐみの精神が衰弱した徒花(あだばな)といえなくもありません。 持続的開発の論理  狭い竹富島に水牛車がひしめくことは、生態系をかく乱する要因となり、住民の声を無視した水牛車ステーションの強行移設は、うつぐみの精神の息づく共同体に、回復のできない亀裂をもたらすことが危ぐされます。  竹富観光の所業は、行政手続きを踏んだように見えますが、ありていにいうと、「将来の世代が自らの欲求を充足する能力を損なうことなく、今日の世代の欲求を満たし人類相互の、そして人間と自然との調和を促進する」持続的開発の理念(環境と開発に関する世界委員会報告「地球の未来を守るために」)が欠落しています。  竹富観光が当面の経済収益を守り、ライバル社との生き残りをかけた競争意識で水牛車ステーションを強行移設することは、文科省が認定した重要伝統建造物群保存地区や「竹富島景観形成マニュアル」からの逸脱であり、「営業の自由」とは「似て非なるもの」、「後は野となれ山となれ」式のカラスの勝手主義に過ぎないといえるでしょう。 うつぐみの精神の再建を  チンパンジーの社会では、長老の支持がなければボスになれないが、竹富島の種子取祭の奉納芸能の始番狂言、大長者(ほんじゃ)では長老が重要な役割を果たし、幾歌でもお年寄りには畏敬の念がはらわれ、シマほめ唄の「しきた盆」では「賢くさや うつぐみどぅ勝さりようる」と誇らしげに唄われています。  本土復帰前後の土地買い占め騒動を乗り越えた竹富島では、1986年3月、長野県妻籠宿憲章に学んで「竹富島を生かす島づくりは、優れた文化と美しさの保存がすべてに優先される」という竹富島憲章を採択しました。  ところが、最近あふれるような観光客の入域で、公民館側によるテレビ局への協力金の付加やリゾート問題の急浮上にみられる商品・貨幣の論理の浸透で、人間関係や自然環境の変質は、長老の役割の希薄化にも現われています。  島内外の人々を魅了してやまないうつぐみの精神は、お互いの夢や希望や願いを分かち合い、響きあう関係であり、竹富人には、困難はあっても、この高邁(こうまい)な理想を再建する勇気と知恵が今ほど求められている時はないのです。  くぬ(この)願いどぅ(を)願ゆる  くぬ作法どぅ 手摺(てぃじ)りようる(祈願する)                     『命果報ゆんた』 …

竹富町議会一般質問(八重山毎日新聞記事)

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 今朝の八重山毎日新聞には、昨日行われた 竹富町議会の一般質問に関する記事が掲載されています。  一般質問において、NPOたきどぅんが助成した 「観光ルネサンス」事業における「旧与那国家住宅周辺整備」 に竹富町が支出した500万円の使途についての議題が上がっています。  記事を読んで思うことは、町議会議員、新聞記者も含めて、 観光ルネサンス事業における成果が正当に評価されていないと いう点です。まだまだ私たちがこの事業の意義、成果、問題点を 世間にしっかりと伝えきれていないことがよく判りました。  この場をお借りしてお詫びをするとともに、 今後、さらに「観光ルネサンス事業」における真実を明らかに すべきであると感じています。 (ta) 「国などに軽減策を訴え」 航路運賃値上げで町長  6月定例竹富町議会(通事隆一議長)は、17日、黒島彪、竹富博彬、 西表貫之、西大舛高旬の4氏が一般質問を行い、一般質問はすべて終了 した。大盛町長は、離島航路の運賃値上げについて、「船会社も苦渋 の選択だったと思う。町民生活に大きな影響が出ないよう、国や関係 機関に軽減策を訴えていく」と述べた。西表氏のへの答弁。  黒島氏は竹富島のリゾート計画を審議した5月16日の町リゾート開発 審議会(会長・山田耕治副町長 15人)が非公開だった理由を尋ね、 大盛武町長は「意図するものは何もない」と釈明。黒島氏は「それな らなぜ非公開なのか」と納得しなかった。  また、黒島氏は同リゾートの計画地を所有する竹富土地保有機構 (本社・竹富町竹富)の代表取締役に長野県のリゾート経営者が就任 している点を「竹富島憲章に違反している」と指摘したが、大盛町長 は「竹富島憲章は島の住民が自ら決定したもの。同憲章に合致するか (町が)干渉すべきではない」とかわした。  特定非営利活動法人(NPO)「たきどぅん」(上勢頭保理事長) の補助金不正受給問題では、大盛町長は「旧与那国家修復の事業主 体である町が母屋の整備と一括して周辺整備を組み入れるのが正しい ということ」と答弁し、問題の補助金で行った周辺整備を町が実施し ていれば、不正受給問題を防ぎえたとの見解を示した。 …

宮良透さんがマンダラー(6/15 八重山毎日新聞記事)

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 本日の八重山毎日新聞には、仲筋村ご出身の 宮良透さんが、97歳の祝いであるマンダラー (カジマヤー)祝が石垣島で行われた記事が掲載 されています。 戦後、仲筋村の男性では初といわれるマンダラーヨイ。 竹富島内では勿論のこと、特に仲筋村の方々の喜びは ひとしおであったと思われます。 (ta) 子や孫集い、長寿祝う 宮良透さんがマンダラー  石垣市登野城の宮良透さんの97歳を祝うマンダラー (カジマヤー)が14日午後、市内のホテルで開かれた。  会場では、子や孫による「あやかり節」や「赤馬節」など が披露され、花束や記念品が贈呈された。  宮良さんは1912年に竹富島仲筋村で生まれ、かやぶきや 石積みの職人として竹富島のまちなみづくりに貢献、また NHKの営業部や先島地区の選挙管理委員会委員長なども 務めた。現在は子や孫、ひ孫総勢56人に囲まれ、日課の新聞 を1日3回読むことや趣味の折り紙やはり絵などを楽しんでいる。  長生きの秘訣(ひけつ)について宮良さんは「何事も前向き に考えること。孫やひ孫と遊ぶことで元気をもらっている。 これからも100歳、120歳まで長生きできるよう、健康に気をつけて いきたい」と笑顔をみせた。 …

6月14日付 八重山毎日新聞

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 本日の八重山毎日新聞には、竹富町議会議員による 竹富島視察の報道と、喜宝院蒐集館に有形民俗文化財 の登録証が手渡されたとのニュースがありました。  仮設の建設物も条例によって規制し、容易に建設できないと する法案を否決した町議会ですが、大問題となっている仮設の 水牛車営業所施設を視察し、住民の声を聞いてどのように思案 されたでしょうか。  喜宝院蒐集館収集物4,000点のうちの842点が沖縄県初の 有形民俗文化財に登録されたことについては、竹富島、 ひいては沖縄の庶民が用いた道具が文化財として認められた とも言えます。 (ta) 水牛車、リゾート問題で視察 住民側は要請書提出 竹富町議会  竹富町議会(通事隆一議長)の議員11名が13日午前、竹富島の (有)竹富観光センター(小底朝吉代表取締役社長)仮設営業所 とリゾート計画地を視察した。  仮説営業所の視察では、竹富公民館の宇根勝末館長と竹富島の 宇根勝末館長と竹富島の聖域・文教地区を守る住民の会の 大山栄一会長がこれまでの経過を説明し、大山会長は、「竹富島 の将来・町の観光政策にとってどうすることが有益なのか検証 してほしい」と訴え、通事議長に要請書を手渡した。  要請では、仮説営業所の移設場所が保育所や小中学校のある 文教地区で、また水牛の排せつ物など衛生面での影響、プレハブ が町並みの景観を損ねていることなどが問題化しており、町教委 では歴史的景観地区保存条例に違反しているとして撤去命令を出し、 また中学生以上の住民の82%の反対署名を得ていることを強調し ている。  説明を受け、総務財政委員長の新田長男議員は「住民側の意見も わかるが、営業所側も生活がかかっているのですぐの撤去は難しい。 互いに話し合い納得のいく形で解決するのが望ましい。行政が間に 入り、対処していく必要がある」と話した。  リゾート計画地の視察では、島の北東部の予定地で計画図面など を見比べながら確認した。 喜宝院蒐集館に登録証 生活用具842点 国の有形民俗文化財に  収集した「竹富島の生活用具」が国の有形民俗文化財に登録された 喜宝院蒐集館に13日、登録証が届いた。伝達式が町役場であり、 大盛武町長が上勢頭芳徳館長に手渡した。  上勢頭館長は「普通の人が普通に使った道具が価値あるものとして 認めてもらったことはありがたい。先代が収集した文化財を次の世代 に継承してきたい」と決意を新たにした。  大盛町長は「昔のたたずまいが登録されたことは意義深い。この機会 に多くの文化財を広めてもらいたい」と激励した。  喜宝院にある約4000点の資料のうち、842点が3月7日付で 文化財に登録された。 …

朝日新聞2008年5月27日付朝刊記事

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 5月27日付朝日新聞朝刊『わが家のミカタ』の記事に、 昨年12月4日に重要文化財に指定された「旧与那国家住宅」 修復にかける文化財建造物修理主任技術者の村田信夫氏の 記事が掲載されています。  修復のプロの情熱、そして後継者育成にかける想い。 竹富島でのユイマールの精神が詳しく述べられています。  この記事を掲載するにあたり、新聞記事をお送りいただいた 村田信夫さん、埼玉県のT.Oさん、そして快く掲載を許可して いただいた朝日新聞社に心より御礼申し上げます。 (ta) 沖縄・竹富島。修復のプロ招き、集落総出の「ゆいまーる」 保存の技 地元で復活  いつまでも、あると思うな技と腕。台風被害の深刻な沖縄の離島では、コンクリートの家が増え、伝統的な民家はいまやわずか。そこで招かれたのは、文化財建築の修復のプロ。厳しい仕事ぶりに最初は戸惑った島民も徐々に作業に参加、やがて集落総出の手伝いに。修復にかける情熱が島にもたしたのは、最西かつ最南の国の重要文化財指定という名誉と友情でした。 (神田 剛)  周囲9キロ、人口320の竹富島。白砂を敷いた道路沿いに、 サンゴを積んだ石垣(グック)が続く街並みは、観光客にも人気の スポットだ。  だが、島は猛烈な台風の通り道。大半の家は1970年代以降、 コンクリートで補強された。景観上、杉板で覆って隠しているが、 木造の家はわずか。そんな中、旧与那国家住宅は例外的に、 13(大正2)年の建築時の姿をとどめてきた。  母屋(フーヤ)の屋根は当時、茅葺の代わりに普及し始めた赤い瓦。 シーサーを飾る習慣もなかった。建物の四方は縁側で、玄関はない。  柱は西表島産のイヌマキで、それを地面で受ける束石は吸湿性の 高いサンゴ。柱を湿気から守る工夫だ。  長年空き家で傷みが進み、解体寸前だったのを 竹富町が購入。(※1)03年から保存修復が始まった。  「ヒトがいない。モノもない。これは大変や」  修復の指揮に招かれた村田信夫さん(62)は滋賀県教委で 文化財建造物を担当してきた修復のプロ。  退職後も各地の現場を飛びまわるが、今回はさすがの村田さんも 驚いた。伝統的な建材も技術も、とうにすたれていたからだ。  当然、現地の建設会社も職人も、文化財として建物を修復する のは未経験。  床板のクギを抜くのにバールを直接あてて傷をつける。 火気厳禁の現場で、「ま、いいさぁ」とたばこをふかす。 早々に村田さんはマジ切れ。怒鳴られた職人は現場に来なくなった。  「いや、もう大変でした」。建設会社の根原史光さん(31) は言う。職人との板挟み以上に参ったのは、村田さんから弟子と 見込まれ、徹底的にしごかれたことだ。  保存修理は、建物を丁寧に解体して構造を記録。最小限の修理を 施して、再び元通り組み立てる。  村田さんは根原さんを横に立たせ、作業の手順や修復の技術を たたき込んだ。  「気安い職人を連れてきたら話は早い。でも、それやと島に建物 を直せる人間が育たへん」と村田さん。「技術を持つ者は、誰かに 伝えなあかんのです」  一方、村田さんは、島の人たちに頭を下げ、修復への協力を 頼んでまわった。  入手が難しくなっていたイヌマキは、古材を集めていた人が 譲ってくれた。  さらに救いとなったのは、民宿を営む松竹昇助さん(79) との出会いだ。  島には昔、家の新築や修繕を互いに手伝う習慣「ゆいまーる」 があった。中でも松竹さんは床の下地を結ぶ縄作りの名人だった。  村田さんは、松竹さんを先生役に、島の小中学生にも作業に 参加してもらった。子どもたちは、土踏みや竹編みを初めて経験。 数十年ぶりにゆいまーるの光景がよみがえった。(※2)  3年越しの修復保存を終えた旧与那国家住宅は昨年12月、 国の重文に指定された。しかも日本最西端の、そして最南端の。  今月、久々に島に渡った村田さんは、旧与那国家の縁側で 根原さんと向き合った。いまや島で4軒目の民家修復に取り組む 根原さんは言う。「随分しごかれたんで、もう余裕ですよ」  苦笑しつつも、その成長に目を細める村田さんは、さらに南の 波照間島で民家調査の依頼を受けている。  同行するのはもちろん、右腕となった根原さんだ。  記事訂正: (※1) 竹富町は家屋を購入したのではなく、所有者から寄贈されている。 (※2) 数十年ぶりとあるが、家屋修復作業でのゆいまーるを指している。 ゆいまーるは現在でも行われている。 当記事は朝日新聞社に承諾を得て転載しています。(2-0642) その他の無断転載は固くお断りいたします。 …

頑張る島人 (6月3日付八重山毎日新聞)

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 今日(6月3日付)の八重山毎日新聞には、 上勢頭芳徳、同子さん夫妻の沖縄県博物館協会08年度 顕彰者として表彰されたほか、大城健太君(八重山 農林高校2年生)が、沖縄県総合体育大会ボクシング 競技においてフライ級3位に入賞した記事が掲載されて います。  上勢頭夫妻は喜宝院蒐集館の蒐集物約4,000点のうち、 842点が国の登録有形民俗文化財として指定されたことや、 竹富島に関する地道な調査活動が評価されています。  大城健太君は、竹富小中学校を昨年卒業後、八重山農林 高校に入学。現在高校2年生でボクシング部に所属しています。 昨年の種子取祭では、庭の芸能にて棒術を奉納しています。  身近な方々が頑張っている姿を見ると、私たちの身も引き 締まる思いがします。 (ta) 上勢頭夫妻を表彰 県博物館協会総会    沖縄県博物館協会(小橋川清弘会長)の総会が5月30日、 沖縄市の東南植物楽園で開かれ、席上、竹富島「喜宝院蒐集館」の 上勢頭芳徳、同子さん夫妻が08年度顕彰者として表彰された。  上勢頭夫妻は、42年間にわたり資料収集や展示、調査活動を 継続、07年3月7日には約4000点の収蔵資料のうち842点 が「竹富島の生活道具」として国の登録文化財に指定、県内で初め て有形民俗資料が国の登録文化財として価値を認められたことが県 博物館活動での顕著な功績として評価された。  これまで11人が顕彰されており、上勢頭夫妻が八重山からは 初の顕彰。このほか、県立博物館や久米島自然文化センター設立に 功績を残した那覇市の上江洲均氏も表彰された。  県博物館協会は県内と奄美の博物館や展示施設など66施設が 加盟、八重山地区からは7施設が加盟している。 県高校総体ボクシング  県高校総合体育大会ボクシング競技が5月31日から本島 沖縄市のダイヤモンドホールで行われ、八重山農林高の 美崎伸弥選手(2年)がライトフライ級で決勝進出を決めた。 また同校の大城健太選手(同)もフライ級で3位入賞となった。  大会準決勝戦で、美崎選手は試合開始直後からラッシュで相手 選手をダウンへと追い込んだ。大城選手は、母親が石垣出身で沖尚 の翁長俊行選手と対戦し惜しくも敗退、3位にとどまった。一方、 翁長選手は決勝進出を決めた。  試合後、美崎選手は「この勢いで優勝し、全国大会に出場したい」 と話し、3日の決勝でインターハイ出場をかけて勝負に挑む。 …

水牛車営業所を移転

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 5月31日、(有)竹富観光センターは、度重なる住民の陳情 を無視し、営業所を移転しています。  6月1日付八重山毎日新聞には「水牛車営業所を移転」と大きな 見出しで記事が掲載されています。  大変残念なことに同記事の下欄には、島ぐるみで行われた 竹富小中学校運動会の記事が掲載されています。  現在の竹富島の明暗が浮き彫りにされています。 (ta) 水牛車営業所を移転 島の中央部に 町並み景観損ねる  水牛車営業所移設で問題となっている有限会社竹富観光センター (小底朝吉代表取締役社長)が31日、島の中央部にある移設予定地 へ移転した。移設場所は、保育所や小中学校がある文教地区になって いることや、水牛の排せつ物など衛生面への影響、プレハブが町並み の景観を損ねていることなどが問題となっており、町教委では、歴史 的景観形成地区保存条例に違反しているとして、先月12日に撤去命令 を出している。 町教委の撤去命令を無視  大盛武町長は命令に応じない場合は、行政代執行も辞さない構え を示している。  これまでの営業所の借地期限が5月いっぱいとなっており、同セン ターと公民館、町では代替地について話し合ってきた。  移設予定地については、昨年6月に公民館の同意書も提出されてい たが、当初は従業員の宿泊施設建設として申請されていたにもかかわ らず、現状変更手続きもしないまま営業所目的でプレハブを建てたと して、町教育委員会では同意書を無効とした。  小底社長は「なんの相談もなしに、撤去命令を出すのは納得いかな い。住民の反対も行政が間に入ってちゃんと説明や指導を行うべきだ」 「同意書の正当性を訴えていきたい」と話した。  同センターでは6月1日にから仮設プレハブでの営業を開始する。  この日は竹富小中学校の運動会で、地域住民のほとんどが運動会に 参加しており、竹富公民館の宇根勝末館長は「住民が一丸となって学 校行事を盛り上げているときに、引っ越し作業を行うなんて、同じ島 に住む者として考えられない。今後も反対運動を展開していく」と 話した。 綱引きに沸く 竹富小中学校で運動会 住民多数も参加  竹富小中学校(石垣安志校長)の2008年度大運動会が31日、 同校グランドで行われ、父母ら多数が詰めかけた。  運動会では千変万化や綱引き、かけっこ、職域リレーなど プログラムも多彩。児童生徒だけでなく、地域住民も参加して 盛り上がった。  綱引きでは、ドラや太鼓を鳴らしながら、地域住民も参加。 1勝1敗の結果に踊りながら互いの健闘をたたえた。 …

再び反対集会、デモ行進

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 5月21日付八重山毎日新聞には、 昨日(20日)に行われた有限会社竹富観光センター水牛車営業所 移設反対集会の記事が掲載されています。  お年寄りを中心とした参加者67名は、36年ぶりに竹富島で 行われた前回(5月9日)と同様に建設敷地の周りをデモ行進しています。  竹富観光センターに観光客を送り出す旅行会社に圧力をかけず、 代表者の良心に訴えるデモ行進。  争いを好まない、いわゆる“竹富島方式”と呼ばれる手法で 呼びかける移設反対運動。  5月9日に比べ参加者は少なかったものの(前回は75名) デモの力強さは前回に比べ増しています。 (ta)  竹富公民館など  再び反対集会、デモ行進 水牛車営業所移設問題で  竹富公民館(宇根勝末館長)と竹富島の聖域・文教地区を守る 住民の会(大山栄一会長)の「水牛車移設反対集会」が20日午前、 まちなみ館で行われ、参加者約60人が移設予定地の周りでデモ行進 を行い、反対を訴えた。    集会は竹富観光センター水牛車営業所(小底朝吉代表取締役社長) に、移設作業中止を求めるもの。  宇根館長と大山会長は「今月9日にもデモ行進を行い、住民の意思 を示してきたが、いまだに移設作業が続いている。周辺には毎年多く の神事が行われ、神の通り道でもあるこの土地は、島の先輩たちが 守ってきた大事な場所。この問答は長く続くかもしれないが、みんな で力を合わせ、移設反対を訴えよう」とあいさつした。  デモ行進前には参加者が「水牛車移転反対!」「まちなみを守ろう!」 「こどもを守ろう!」とシュプレヒコール。プラカードを掲げて抗議 した。  同営業所では20日に仮設のプレハブで営業をスタートする予定だった が、工事が遅れているため31日ごろに営業を開始する予定。 …

竹富で36年ぶりデモ

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 5月10日付琉球新報、沖縄タイムス、八重山毎日新聞、八重山日報 地方紙各紙では、竹富島で行われたデモ行進について取り上げています。  大勢のおじぃやおばぁが参加したこのデモ行進(参加者は75名)について、八重山毎日新聞の記事を掲載してみなさまにご紹介します。 (ta)  八重山毎日新聞5月10日付記事 竹富島で36年ぶり住民デモ 水牛車営業所移設で集会 反対訴え、「人間の鎖」も  竹富公民館(宇根勝末館長)と竹富島の聖域・文教地区を守る住民の会 (大山栄一会長)による「水牛車移設反対住民集会」が9日午前、まちなみ館 で行われ、参加者約80人が移設予定地の周りでデモ行進を行い、手と手を握り合って「人間の鎖」で強い反対意志をアピールした。移設作業を行っている竹富観光センター水牛車営業所(小底朝吉代表取締役社長)に対し、移設中止を求めるもの。  集会は移設予定地が保育所や小中学校と隣接する文教地区になっていることで交通事故などの安全面や騒音、集落の中心部移設により排せつ物など衛生面の影響、赤瓦のまちなみのなかでプレハブの建物が並び、歴史的景観形成地区保存条例に規制されていることなどが問題視されている。  宇根館長と大山会長は「竹富島でのデモ行進は、戦後の土地買占めに対する反対運動以来36年ぶりに行われる。祖先たちも自分たちの島を守るため、立ち上がった。私たちもその魂を受け継ぎ、先輩達が築き上げてきた大切な竹富島を守っていくために頑張ろう」先輩たちが『うつぐみ』の精神で守ってきた竹富島の景観・文化・歴史が、危険にさらされている。将来の竹富島のためにも今の状況を許さず、住民一丸となって対応していきたい」とそれぞれあいさつした。  このあと参加者は「水牛車移転反対」などのプラカードを掲げながら、まちなみ館南側の移設予定地(約2,900平方メートル)の周囲をデモ行進。つないだ手を頭上に掲げ、竹富観光センター水牛車営業所移設に抗議した。  「いきなり反対、納得できぬ」  「水牛車移設反対住民集会」で竹富観光センター水牛車営業所の小底朝吉代表取締役社長は「4年前から、公民館や行政を交えて場所の選定を行ってきたのに、いきなりの反対で、こちらのほうが驚いている。昨年6月には公民館の同意書も提出し、準備を始めていたのに、今年になって不許可とするのは納得できない。業務妨害としか言えない」と話し、不許可取り消しと損害賠償を求めて町教育委員会を提訴する姿勢を見せている。  これに対し町教委では、当初は従業員の宿泊施設建設として申請されていたが、現在建築中のものは営業所で、新たな現状変更手続きが行われていないため、同意書は無効となることを不許可理由とした。  小底社長は「現状変更手続きは建造物に関するもので、プレハブはあくまでも仮設なので条例には触れない」と主張している。町はこのまま工事を進めた場合、行政代執行により、工事を中止させる構えをもっているが、県がプレハブを仮設と認めるかがポイントとなる。  竹富観光センター水牛車営業所では、今月20日ごろに、仮設のプレハブで営業を開始する予定。 …

4/27付琉球新報朝刊ならびに八重山毎日新聞

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 先日お伝えした「地域観光振興事業(観光ルネッサンス)」の不当受給について、当団体の理事長が記者会見を行った記事が掲載されています。  今後は理事会を開催して同問題について取り上げ、承認を得た後、提訴する旨の発表がありました。 (ta) ●琉球新報4月27日付朝刊 「総合事務局に責任」処分不当と提訴検討  竹富町にある国の重要文化財「旧与那国家」周辺を整備する「観光ルネッサンス事業」で補助金の不正受給があったとして、国土交通省から銀行口座を差し押さえられたNPO法人たきどぅん(竹富町)の上勢頭保理事長らが、26日、那覇市内で会見し「沖縄総合事務局の指導を受けて事業に当たっており、処分は不当だ」と主張した。国交省に処分取り消しを求める行政訴訟を検討中という。  上勢頭理事長は「『ボランティアも補助対象になる』と指導した総合事務局に責任はないのか。国交省の同事業にかんする『手引き』には『現物提供分を金額に換算して計上できる』とある。会計検査院と国交省にボランティアの定義を示すよう求めたが、応答がない」などと述べた。  同法人は3月に国交省から補助金の一部返還命令を受け、4月4日に異議を申し立てたが、17日に棄却された。国交省は24日に徴収手続きに入り同法人の口座を差し押さえた。同法人は今後、理事会の決定を経て早期に行政訴訟を那覇地裁に提起する方針。  代理人の金城睦弁護士は「総合事務局は『手引き』の解釈を誤って指導し、会計検査院の指摘を受けたからと、責任を取らずに民間側に返還を命じている。でたらめだ」と批判した。  会計検査院は昨年11月、同事業でボランティアで実施された石積み作業について「(『手引き』では)ボランティアから無償で提供された分を補助対象経費に計上する処理は許容されていない」として、事業費1795万円のうち1499万円を不当な事業費と指摘。同法人に補助分の481万円の返還を命じた。  一方で同院は沖縄総合事務局に対しても「指導は必ずしも適切であったとは言い難い」と指摘した。 ●八重山毎日新聞4月27日付  近く取り消し求め提訴  国交省の補助金徴収手続き   たきどぅんの上勢頭氏  【那覇】竹富島の特定非営利活動法人(NPO)「たきどぅん」(上勢頭保理事長)が旧与那国家修復などで補助金を不正に受給していたとされる問題で上勢頭理事長は26日、国交省の預金差し押さえなどの徴収手続きに対して、同手続きにの取り消しを求める考えを示した。  近日中に同法人理事会を開催、承認を得た後、提訴する方針。たきどぅんでは、補助金交付決定の一部取り消し・返還命令に対する異議申し立てを行っていたが、今月17日に申し立てが棄却されたことから、行政訴訟を行う準備を進めていた。  同問題は2005年の旧与那国家修復にあたって、同法人が国交省の観光ルネサンス補助制度を活用し、支払い実態のないボランティア作業分を工事代金の一部に組み入れて補助金を受給。国交省が補助金交付決定の一部取り消しと480万円の返還命令を行い、返還命令の支払期限が過ぎたことから、預金の差し押さえなどを含む徴収手続きを実施しているもの。  26日午後、那覇市内の法律事務所で会見した上勢頭理事長は「沖縄総合事務局の指導のもとに、ボランティアが労働支援と認められるとして資料を作成し、国交省も認めていた。国交省と会計検査との間でボランティアに対する見解が違うようだが、われわれは指導に従っただけだ。不正受給というのであれば、指導した責任はどこにあるのか」と話し、補助金交付決定の一部取り消しと返還命令の取り消しを求めていく考えを示した。  観光ルネッサンス補助制度(地域観光振興事業費補助金)概要では、補助率を対象経費の40%を上限とするとされており、その注釈で「現物提供分を金額換算して参入することも原則として可能」とされている。  上勢頭理事長は同事務局から「現物提供分」にボランティアを組み入れることも可能とする指導が行われ、補助を受けるための60%の同法人持ち出し分にボランティアの労働支援を金額換算して参入したと説明している。  会見に同席した金城睦(ちかし)弁護士は「民間の自主的な活動を進めていく一方で、市民が村づくりを自主的にやろうとすることへの裏切りだ。当事者への裏切りだけでなく、地方に対する措置のあり方としても許せない」として県選出国会議員にも働きかける見解を示しており、同訴訟では同事務局からの指導の有無や「ボランティア」に対する定義が争点となりそう。 …