かりゆし館のゆがふの話
かりゆし館には看板猫がいます。
黒い猫ですがお腹と鼻先、そして四つの足先だけが白く、靴下をはいているような柄です。彼の名は「ゆがふ」。最初に居ついたところがお隣のゆがふ館で、先代の「ゆがふ」が亡くなった後ふらりと現れ、お掃除で来てくれていたみっちゃんと仲良くなり、そのまま2代目「ゆがふ」を襲名したのです。しばらくゆがふ館の看板猫として過ごしたあと、港の猫たちと駐車場でうろうろするようになったのですが、人間に警戒心がない彼は、いつしかかりゆし館のスタッフにもなつくようになり、事務所や店で過ごすようになったのです。他の猫と違って小さなころからみっちゃんに子供のようにかわいがられていたので、誰が近づこうとも、触ろうとも全く動じず、ドテっと寝たまま。気が向けば「にゃー」と鳴き、スリッと頭をこすりつけたりするのです。最近の彼のお仕事は店内のいい場所を探しては、商品の間に隠れて昼寝をして、お客様に「本物?本物なの??」とびっくりを提供。また、入島料の券売機の上に陣取り、入島料の収受活動に協力。子供が近づいてきてもじっと相手をしてあげる。ピリピリしたスタッフがいれば隣にすわり、癒し与えるなどなど。彼の仕事は多岐にわたります。
彼の変わったお仕事のもう一つがモデルです。コロナ感染防止のために、あちこちでソーシャルディスタンスが当たり前になってきました。かりゆし館も例外ではありません。冷たい椅子に「間隔をあけてお座りください」と表示するだけでは芸がないな。。と感じていた時、ある美術館でソーシャルディスタンスを猫の写真を椅子貼ることで促した……という記事を読みました。これだ!!と思いかりゆし館のソーシャルディスタンス表示を島の猫写真で表示することにしました。かりゆし館のスタッフも実は隠れた猫好きぞろい。携帯の中にある秘蔵の猫写真を次々にプリントアウトして、ラミネート。島の猫は地域猫でも名前がついている子が多く、名前も書くことで、かわいい猫たちにもっと親近感がわくというものです。やっているうちに、猫ばかりじゃなぁ……と犬の写真が加わり、そういや松竹の馬もいるよ、田中家のやぎはどうだろう?と増えて、かりゆし館の待合室は動物の写真でいっぱいになりました。お客様の反応も上々、「かわいい!」とか「〇〇ちゃんはどこにいるんですか?」という質問を受けたり、「椅子の写真、楽しくていいですね」といった感想をいただきました。やはり一番多いのはゆがふの写真でした。コロナ渦のソーシャルディスタンスにも一役買っているゆがふなのでした。
なかなか終わりが見えないコロナ渦ですが、竹富島だからできること、私達だから楽しめることを探していきたいと思います。
そして、一日も早い終息を願っています。