種子取祭の写真展示の話
世界中で猛威を振るっている新型コロナウイルスの感染予防のため、様々なイベントや催し物が中止となりました。
ここ竹富島の種子取祭も例外ではなく、去年に引き続き今年も奉納芸能は中止し、神事だけ執り行うことになりました。
島の人たちが大切にしている祭りです、苦渋の決断であったことでしょう。このまま何もしないというのもなんだか寂しい。。
ということで、かりゆし館では、近年の種子取祭 奉納芸能の様子を写真で展示することにしました。
観光で来られたお客様には種子取祭ってこんな祭りですよ~という説明なども添えて少しでも雰囲気が伝わればいいなぁという思いです。
いざ、印刷にとりかかると写真を選ぶという作業がなかなか大変でした。
毎年やっていた演目で同じ衣装を着ていても、演じている人が違えば、雰囲気や表情が違ったり、子供たちが演じている写真はたった数年でも成長している姿が垣間見え、あれもこれもと眺めているとなかなか前に進みません。
二日間の演目をできるだけ漏れがないようにと印刷したら、七十点の展示となりました。
今年の種子取祭が始まるトゥルッキの日(十月三日)を開催初日とし、多くの皆様にお楽しみいただいています。
観光のお客様も興味をもって見てくださっています。
でもじっくりと見ていくのはやはり島の人達です。
演じている人はもちろん、観客席に座る人にまで目を向けて口々に感想を話したり、笑いあったりしています。
数多くの狂言を演じてきた食堂のおじさんが、船の切符を買いながら展示を見て
「あぁ~種子取祭の気分でたよ!ありがとうね!」
とカウンターに言いに来てくださいました。
この写真展をやって本当によかったと思える瞬間でした。コロナの感染を防ぐため、人命第一とはわかっていても毎年欠かすことなく行ってきた祭りが出来ないのはやっぱり張りがないと感じている人も少なくないと思います。
私たち踊り手も二年のブランクでだいぶ鈍ってしまいました。
来年こそは盛大に行えると信じ、体力づくりからしっかり準備をしなくては…。
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展示写真は槙貴雄さん(故人)から頂いたものです。
(NPOたきどぅん会報Vol.69 2021年10月 より)