サバニと健康の話
島に住んでいるアキラ。
彼は竹富島で育った青年で、小さいころから海が大好きでした。
学生の頃は内地に出ていましたが、島に帰ってきて家族をもち、海を仕事場に選びました。
そして帆掛けサバニによるツアーを始めた。
そのツアーは、お米を作るために由布島まで漕いでいったり、魚をとったりしていた先人達が見たであろう景色を眺め、実際にサバニ漕ぎを体験し、そして風を感じながら思いをめぐらせる…そんなツアーです。
九十歳になる松竹昇助さんは青年時代、まさにその生活をしていた島の男。今もお元気で民具作りの講師をして頂いています。
島のおじぃはこんなに元気なのに、沖縄が長寿の県と言われ、男女共に健康長寿第1位に君臨していたのは、もう何年も前の事。ここ数年の沖縄県はというと1位はおろか、まだまだこれからという五十代六十代の方から先に…という状況です。
残念ながら竹富島でも中年層の健康が危ぶまれているという調査結果が出ています。
では、今のおじいちゃんおばあちゃんは、なぜこんなに元気で若々しくいられるのでしょうか。
戦争中や戦後は食べるものも乏しく、決して栄養状況が良かったとは言えないはずです。
しかし、昇助さんを含む島のお年寄り達は皆さんとてもお元気で、筋骨隆々!体脂肪はいったいどこへ?といった体つきです。
特にジムに通っているという噂は聞きませんし、走りこんだり筋トレをしたりする様子も見受けられません。
ではなぜ?
その生活の差は歴然。
おじいちゃんおばあちゃん達が若かりし頃の生活は…日の出とともに目覚め、お母さんは朝食準備をするのに薪で火を焚き、それから畑へ行って一日汗を流します。
子供たちの仕事はヤギの草刈、井戸からの水くみ水運び。
お父さんは手漕ぎのサバニで由布島へ渡りお米を作り、畑を鍬で耕す毎日。
ちらっと書いただけでも壮絶な日々です。
一方我々若い者達はというと、毎日仕事だと言ってはパソコンに向かい(まさに今も!)こんな小さな島に住みながら通勤は、ついつい車。
溜息しかでません・・・。
健康長寿を取り戻そう!
運動をしましょうと!
と県でも呼びかけていますが、ジムに通ったり、何やらサプリを飲んだりするよりも、サバニを漕いだり、畑を耕したりする方が健康になれる気がしませんか?
しかも新鮮な海の幸、栄養たっぷりの野菜を食べることができる。
なんと一石二鳥。
効果倍増。
「健康長寿を目指して
Let’s サバニ!
Let’s 農業!」
近い将来、そんな健康法が流行りだすかもしれませんね。
(NPOたきどぅん会報Vol.64より)