表現の話
竹富島の人の話し方って、とっても面白いと思いませんか?
島のおじいさんやおばあさんと話しをしていると、表情はもちろん言葉選びや抑揚、手振り身振りも本当に豊かな人が多い。
特徴としては「大げさ」「擬音が多い」「なんでも一番」といったところでしょうか。
すぐ近くのゆがふ館で仕事をしていたおばあさんがこんな話をしていました。
あるおじいさんが畑からの帰りに、おばあさんの家の前を通りかかりました。
このおじいさん、タイミングが悪く、おばあさんが掃除をしたばかりの道を、土のたくさんついたショベルカーで通ってしまったのです。
「あのじぃさんよ!!あたしが道掃除ぴしゃーっとしたら、
いっちばん綺麗な時にキャタピラでガンガラガンガラ通ってよ!
その後ろに土をダッホ!ダッホ!ダッホ!!って落としていってから~!
ならんさ!!!」
とかなりお怒りのご様子。
でもこんな風に話をされたら笑うしかないですよね。
…掃除をしたばかりの道にキャタピラの土がカステラ状に落ちていってとても嫌だった…
という話をしているのですが、まるで大きな土の山が道にいくつもできてしまったかの様な話っぷりです。
とても大げさで、それでいて嫌味じゃなく、表現がとても豊かだと思いませんか?
あぁ音声でお届けできないのが、なんとも…もどかしい。
そんなユーモラスな会話が島の日常で繰り広げられていているのです。
その表現方法は種子取祭のような祭りで観られるキョンギン(狂言)でも多く使われ、私たちを楽しませてくれます。
テードゥンムニ(竹富島の方言)で演じられるキョンギンは毎年毎年同じ演目が行われるというのに、子供にも大人にも大人気。
その中のセリフに面白い擬音や表現がちりばめられています。
「組頭」では自分の鍬が一番素晴らしいと自慢し、鍬で畑を耕す音を「ガバラッ!ガバラッ!」とまるで大岩をひっくり返したかのよう。
「鍛屋の願い」では、大きな耳だという事を「沖縄豚の耳のようにダイラダイラと…」と身振り手振りも加え皆を笑わせます。
竹富島の人たちの豊かなコミュニケーション能力は、遠い昔から日々交わされてきた楽しい会話や、笑いを誘うユーモラスな表現で培われたものなのかもしれませんね。
竹富島のじいさんばぁさんの話しは、いっちばぁ~ん面白い。