船積みの話

竹富島から船にのって買い物に行くことを、「大変でしょ~?」と心配してくださる方がいらっしゃいます。
そう、確かに大変ですが、石垣島のスーパーには離島のお客さん専用の「船積み」というシステムが存在します。
スーパーで買い物をして、「あ、船積みでお願いします」と言い、手続きをレジで済ませると、買い物をした全ての物を箱に梱包して、指定した船に乗っけてくれる…というありがた~~~いシステム。
考えた人、本当に天才!
毎日買い物に出て行く事は出来ない為にどうしても多くなってしまう食糧や日用品。この大荷物を抱えてバスに乗り、そして船に積み込み…と本当に大変でした。
しかし、このシステムができたおかげで、買い物をした後にお昼を食べて、役場や銀行に寄って、帰りにゆっくりコーヒーを飲んでから船に乗ることができます。
その船に買い物をした荷物を積んでおいてくれるので、島に到着するときに船から荷物を下ろすだけでOK。
大手スーパー、ホームセンターがこのシステムを導入してくださり、私たちの買い物スタイルはずいぶん身軽になりました。
石垣島発の各離島の船、各時間、ドライ、冷蔵、冷凍とその細部にまでわたる気づかいは、まるで羽田空港の手荷物仕分け作業の様。
そして荷物を持って移動する心配が無くなった私たちは、ついつい財布の紐が緩くなり、ショッピングカート山盛りの買い物をしてしまうのでした・・・。

では、定期船に乗り切れないような荷物はどうするのか?
大きな家具や冷蔵庫等は家の設置場所まで業者さんが対応するのが一般的ですが、私たちの住む離島までの配送は難しいようです。
もちろん石垣の港から貨物船には乗せてくれるのですが、竹富島についた後、コンテナからトラック、トラックから設置場所へと、近所や親せきの男性陣をお願いして協力して運んでもらいます。
すごく大変ですが、これが離島ならでは、竹富島ならではのいいところだと思っています。
困った時はお互い様、昔ながらの結がここに残っている気がして、そういう作業風景はなかなか良いものです。

その昔、定期船が一日二便だった頃は、石垣へ渡るとなると大変な事でした。
そこで、毎日船に乗っている人…船長さんへお願いすることも多かったのだとか。
祖父は長いこと石垣と離島を結ぶ航路の船長をしていました。
竹富島へ帰ってくる時は島の人からいろいろな買い物を頼まれて、大荷物で帰ってきたそうです。
今でも、お客さんの忘れ物やちょっとした預け物を船員さんにお願いする風習は残っていますが、あくまでもこれは船員さん達のご厚意という事です。
いつもいつもありがとうございます。
(NPOたきどぅん会報Vol.61 2019年5月 より)