観光を考える

「八重山の針路と選択63」(『八重山毎日新聞』2007.12.09)の
冒頭は、人口約600人の小さな農村集落である、
白川郷荻町に年間約150万人もの観光客が訪れる
話題からはじまります。
荻町を中心とした白川郷では、
合掌家屋を生活のなかで守りながら、
それを観光資源として生かしています。
1982年から94年にかけて、ジワジワと増加した観光客が、
世界遺産に登録された、95年から急激な伸びを見せたといいます。
それに伴って、例えば交通渋滞や、景観の混乱など、
地域のさまざまな社会問題を
引き起こすこともあるようです。
竹富島においても、新石垣空港の開港を契機に、
観光の急激な変化が考えられます。
白川郷と竹富島を比べてみたとき、
基層となる文化は、山と海というように対照的ですが、
同じような志と、同じような悩みを抱えながら、
まちづくりに取り組む姿勢に、親しみを覚えるのです。
住民にとっても、観光客にとっても、よりよい環境をめざした、
質の高い観光を計画的に実行していかなければなりません。
                       (YI)


「八重山の針路と選択63」『八重山毎日新聞』2007.12.09
第3部まちづくり22 白川郷編
荻町を中心とした白川郷には、合掌造りの農村集落を目当てに年間約150万人の観光客が訪れる。合掌家屋を持つ住民の大半が民宿や土産物店を営む。合掌造りを生活のなかで守りながら、観光資源として生かしている。しかし、交通手段が車両に限定されることから時期により駐車場不足が発生するほか、連日、集落内を散策する観光客に住民のプライバシー保護の問題も浮上している。
■人口の2000倍の観光客
 昔ながらの合掌家屋がまとまって残り、世界遺産に登録されている荻町は148世帯、人口約600人の小さな農村集落。そこに人口の2000倍以上にのぼる約150万人の観光客が訪れる。
 観光客は82年から94年にかけ50-70万人に向けジワジワと増加していたが、世界遺産に登録された95年から急激な伸びを見せ、10年余で倍増した。
■観光施設として活用される合掌家屋
 荻町にある民間の合掌家屋は59棟。このうち21棟が民宿、8棟が土産物店、7棟が飲食店として活用されている。
 このうち民宿は、合掌家屋の古い間取りをそのまま利用しているケースが大半。1棟の宿泊人数は最大で15-16人。特に人数制限はないが、家族でお客に対応できる人数がこのくらい、だという。
 合掌民宿「十右エ門」を経営する坂井奎子さん(75)は「ホテルみたいに(お客を)満杯にとることはない。たえずお客と触れ合うことが大事。そうしないとせっかく来てもらったお客に悪い」と言う。
 また、坂井さんは、観光客が増え、民宿も営業化していることに「営業みたいになると心が伝わらない。町で心が伝わらないのに田舎に来ても心が伝わらないと寂しい」と話した。
■不足する駐車場
 荻町には、集落から庄川を挟んだ対岸に荻町地区の総合駐車場(村営)がある。収容台数は大型バス38台、普通自動車188台。利用料の約半分が合掌基金に積み立てられ、集落整備事業の財源に充てられている。
 しかし、ゴールデンウイークなど繁盛期は駐車場に入り切らず、集落内での路上駐車が発生。集落内の安全対策や景観上からも問題となっている。
 これを受け、荻町では、交通対策委員会を立ち上げ、集落までのシャトルバスを付けた臨時駐車場の開設や毎月週末の2日-4日間、午前9時-午後4時まで観光車両の集落内への乗り入れ規制や、一方通行の社会実験を始めている。

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