結い

『八重山毎日新聞』連載中の「八重山の針路と選択」。
本日は第62回。
4日にお知らせしましたように、ただ今「白川郷編」が展開中です。
今回のテーマは、合掌造りの屋根の修復について。
それには、昔ながらの「結い」の精神が受け継がれ、
地域住民が互いに労力を提供して、
合掌造りの伝統家屋を維持しているのです。
さて、その「結い」ですが、
沖縄でもたいへん親しみのある言葉です。
最近は、単に「一致協力」ということが強調されますが、
本来は賃金のともなわない労働交換といった、
経済活動と大きく関係しています。
『沖縄大百科事典』によると次のようにあります。
「生産力の水準が低く、労働力が賃金で評価されない段階では、
他所からの労働力の受入れにたいして労働力でをもって
返す方法がとられた。
この労働力のやりとりは、血縁・地縁で結ばれた
数戸の農家同士でおこなわれる。
一般的には共同的、相互扶助的なものとしてとらえられているが、
経営の分化が進んだ段階では経営規模の大きい農家に
有利に作用したという側面も見逃してはならない。
農村に資本主義経済が浸透し、
労働力が賃金で評価されるようになるとユイは崩壊していく。
沖縄ではサトウキビの刈取り、製糖、田植え、
刈取り作業を中心に耕起作業、家、墓の普請などのユイもあった。
現在各地ににみられるユイは、現金の生産をともなっている
場合が多い。
なかでも竹富町波照間島、国頭村奥のユイはよく知られている。」
白川郷荻町集落の自然環境を守る会
会長・三島敏樹氏によると、
現在「結い」には3つのレベルが認められ、
合掌の大きさなどの条件により、
その3つの「結い」を組み合わせながら、
バランスをとって合掌屋根の修復が行なわれるそうです。(YI)


「八重山の針路と選択62」『八重山毎日新聞』2007.12.06
第3部まちづくり21 白川郷編
 世界文化遺産に登録された白川郷には、114棟の合掌家屋が残り、このうち荻町では59棟の合掌家屋と周辺の水田で昔ながらの農村風景を色濃く残している。その保存には、住民組織の白川郷荻町集落の自然環境を守る会(以後守る会)と、合掌造りの修理などを受け持つ(財)世界遺産白川郷合掌造り保存財団(同財団)が連携して当たっている。合掌屋根の修復には昔ながらの「結い」の精神が受け継がれ、地域住民が互いに労力を提供することで、合掌造りの伝統家屋を維持している。
■合掌造りの特徴
 白川郷の合掌造りは、小屋内を有効利用するために切り妻造り屋根としたかやぶき家屋。幕末から昭和初期ににかけ養蚕が住民の生活を支える基盤産業だったことから、屋根裏を2-4層に分け、夏場は養蚕場、冬場は食料や牛の飼料などを保存する倉庫として活用されてきた。
 このため、大きな家では、現在の4、5階建ての家屋と同じぐらいの大きさがある。
■受け継がれる結い
 合掌家屋を維持するためには定期的な屋根のメンテナンスが必要。年に1回は、屋根の頂上の「棟がや」のふき替えと、古くなったかやを替える「差しがや」が必要。この作業に昔ながらの「結い」で、地域住民が互いに労力を出し合っている。
 以前は、材料のかやを各家で確保し、材料の持ち寄りも含めた結いが行われていたが、近年は、かやの確保が難しくなったことから、労力のみの結いとなっている。
 守る会の三島敏樹会長によると、結いには地域全体に募る結いと、合掌家屋を持つ合掌保存組合だけに手伝ってもらう「現代結い」、かやふき技術者が伝統技法を継承するために請け負う結いの3つの結いがあり、合掌の大きさにより、3つの結いを組み合わせ、うまくバランスを取りながら合掌屋根の修復が行われる、という。
■保存は心意気
 合掌造りの補修には、その規模により国や財団から補助があり、住民の負担は、非営業者で10%、民宿や土産店などの営業者で40%となっている。
 しかし、大きな家だとふき替えに1200万円かかり、補助を受けても住民負担は大きい。
 築300年近い合掌造りで民宿を営む女性(75)は「合掌造りは暗く、屋根ふきが経済的にも大変。ただ住むだけなら新しい便利な家に住みたい。民宿など何かメリットがないといけない」と話す。
 三島会長は「皆、心意気でやっている。自分の家でありながら地域の財産。皆に助けてもらい屋根打ちした家だという気持ちで大事にしている。多少リスクを背負っても誇りを持って維持している」と話した。

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