竹富島の風を送りたい~前編

「クバオウニ」ってご存知ですか?
クバオウニとは、竹富島で昔から使われている扇のこと。

40代以上の人に聞くと、
「扇風機もない頃は、夏になるとおじぃやおばぁが昼寝の時にあおいでくれて、とっても涼しい風を送ってくれたもんだよ。カサー、カサーという音と、背中をさすってくれていたあの感触は忘れられないよ・・・」
と、話してくれます。
どこへ行っても冷房が入っていたり扇風機がまわっている現代、
よく目にする“光景”ではなくなってしまいました。
少しでも“竹富島を感じるものをお土産に!”と、かりゆし館の売店ができた当初から「クバオウニ」を販売してきています。
クバの葉で作る「クバオウニ」は、見た目が葉っぱそのものなので、店頭に並べただけではなかなか扇だということがわかってもらえず、売れ行きもいまいち・・・。
うーーん・・・竹富島から持ち帰っても使え、竹富島の木陰ですーっと吹く風を思い出せるホントに良いものだと思うのですが・・・。
なんとか「竹富島の風」をお土産に持ち帰って欲しいのになぁー、
と色々考えてみましたが、なかなか良い考えは浮かばず、ひきつづき扇として「クバオウニ」を販売していたのです。
ひょんなことから・・・。
ある日、何気なく雑誌を見ていたら、どこかの檜の産地から檜の板に切手を貼り、葉書にして贈るというアイテムが目に留りました。
木の温もり、木の香り、なにより送り手のメッセージを込めることができるというこのアイデア・・・・頂きましょう。
郵便受けに葉っぱの手紙が届いていたら・・・
面白い!
しかも、ただの葉っぱではないのです、
クバオウニなので「竹富島の風」を送るのです。
「風」を送るなんて聞いたことがありません。
この扇を贈り、届いた時の友人のびっくりした顔を
想像するだけでニヤニヤしてしまいます。
思いついたら居ても立ってもいられなくなり、すぐさま郵便局へ。
「クバオウニ」を差し出し、
「これはいくらで送れますか?いくらの切手を貼ればいいでしょうか?」
「無理です。」
・・・バッサリ。
勢いよく聞いた、私の出鼻は完全にくじかれました・・・。
檜の板は送れるのにどうして扇はだめなのか・・・?
葉書なんて紙切れだって、切手を貼ればちゃんと届くのに・・・なぜ!?
どうすればこのまま送れるのか?
タグをつけても送れないのか?
葉っぱであることが原因なのか?
納得できずに、次々に質問する私に郵便局の方は答えてくれました。
葉っぱであることで、破損する可能性があること。
葉脈が邪魔をして切手を貼ってもはがれてしまうことが考えられ、
送り先にも迷惑がかかるかもしれない、とのこと。
タグは良い考えかもしれないけれどやっぱり裂けて落ちてしまったら、
しっかり届けることができないと思うとのことでした。
確かに、郵便局の方が言ったことが言ったことは最もで、
折角送るのなら確実に届けたい・・・。
すっかり気落ちしてしまい、郵便局を後にしました。
しかし、どーしてもあきらめきれません!
「竹富島から風を送る」
ものすごく素敵なことに思えて・・・
もう一度、しっかり考えてみることにしました。
つづく。

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