植物の話

かりゆし館では、植物に関する質問を受ける事がよくあります。ここ竹富島は南の島ですから、観光でいらっしゃった皆様がふだん目にしない植物もたくさん有るのでしょう。

一番よく聞かれるのは、「キンチョウ」という植物についてです。集落に入ると、グック(石垣)の上からピョンとはえているこの植物は、べんけいそう科でその科の植物はCAM植物と呼ばれ特殊な光合成の仕組みをもっている為、乾燥に強くアスファルトや石の間からでも生えることができます。葉の先に芽を多数つくり、その芽が落ちて増えていくとのこと。大きくなるとてっぺんから茎を長くのばし、その先にいくつもの赤い花をぶら下げます。
しかし、この「キンチョウ」は掃除しないでほおっておくと、どんどん増えていってしまう為、竹富島では屋敷のグック(石垣)にそれが沢山生えていると、怠け者と言われてしまいます。観光客のみなさんは「かわいい」と言ってくださいますが、竹富島ではちょっと嫌われ者です。


「クワズイモ」も、聞かれることの多い植物です。「となりのトトロ」に出てきそうな大きな葉が特徴で、桟橋通りの道沿いによく見かける植物です。さといも科でさといもによく似ていますが、食べられません。なので「食わず芋」という訳です。良く育つと2mくらいになり、葉も大きいものだと70㎝~80㎝くらいになります。ツヤツヤのハート型なので、皆さん持って帰りたがりますが、そう簡単に引っこ抜けるものではなく、また樹皮が皮膚につくと痒くなりますので、おすすめしません。しかし、観葉植物にしたらカッコイイんじゃないか?と個人的には思っています。似たような植物が東京の花屋さんで高く売られていたのを見てしまったからですが・・・。

また、道に生えているパパイヤは誰が植えたものですか?と聞かれることがありますが、アレはだれが植えたわけでも、育てているわけでもありません。おそらくカラスや他の鳥等が実を食べて、種を運んでくれたのでしょう。運よく雌株だった為、実をつけたという事なのです。大きくなるまでみんなで見守り、食べごろになると、一つ、また一つと誰かが採っていく。もちろんスーパーでもパパイヤは売られていますし、畑で育てている方もいらっしゃいますが、たまに食べるくらいならこれで十分。通勤している道路で食材を調達できるなんて、素敵でしょ♪
(NPOたきどぅん会報Vol.67 2021年2月 より)