だっからよ~の話
かりゆし館には、いろんな人が来ます。
島のおじさんたちもコーヒーを飲みにやってきます。
もちろん缶コーヒーですが、その1本を飲み終わるまでの会話を楽しんでいるようです。
ある日、牛を飼っているおじさんがいつもの様に自販機で買ったコーヒー片手にカウンターにやってきました。
すると、後ろからバスの運転手のおじさんがやってきて
「雨だね~…」
「だっからよ~…」
とそれだけの会話を交わしていきまた。
確かに雨は降っています。だからなんだ?と思い牛飼いのおじさんに「どうかしたの?」と聞いてみました。
するとこんな答えが返ってきたのでした。
「いや~、
昨日牛の草を刈って乾燥させようと思ってたのによ、
まった雨が降ってるさ~。
バスから見てたんだろう?
俺が草を刈ると雨が降るって言ってるわけさ!ははは」
っという事は…。「雨だね~」の一言には、「雨がまた降ってきたね~、昨日草刈をしていただろう?乾燥させるつもりだったろうに、あんたが草を刈ると雨が降るジンクスは健在だな~、お疲れさん」という意味が込められてるという事になります。
「だっからよ~」の一言には、
「だからよ~、せっかくいっぱい草を刈ったのにまた雨だよ、バスの中から作業しているのを見ていたんだな。お疲れさん」という意味が込められているんですね。
なんと・・・。
人口350人の竹富島に暮らし、日々お互いの仕事や生活が見えていて、互いのことを思っているからこそできる会話だったのです。
たった二言で互いを思いやる素敵な会話だと思いました。
雨がふってきた…あの人はどんな気持ちでいるのだろう?
風が強くなってきた…部活で走っていた子供たちは大丈夫かな?
波が出てきた…出かけるって言ってたけど、平気かな?
そんな風に誰かを思うことが、島の目となり耳となり、そしてつながっていくのかな?
と、その会話を理解しきれないうちは、まだまだですなぁ~。
本物のてーどぅん人を目指して精進致します。
(NPOたきどぅん会報Vol.54 2018年4月 より)