『八重山毎日新聞』2008.01.06
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本日の『八重山毎日新聞』「不連続線」欄に
竹富島のリゾート開発計画について
論じられています。
「私たちは、竹富島が好きなだけに
銘々が島の未来のようなものを
夢見て大事にしている。」 (YI)
『八重山毎日新聞』「不連続線」欄2008.01.06
暮れに飛び出した竹富島のリゾート開発計画には驚かされた。土地を売らないから、島の人が経営するからいいんだという理由で大型開発が進められては、島の自然保護運動は成り立たない。
景観を守り、限りある自然にこれ以上負荷をかけないため大型リゾート計画は、いらないと運動してきた住民の立場はどうなるのか。計画申請者は、景観を伝統的な建造物に準じると説明しているが、採算性の問題もあり、ある程度の規模は必要だろう。
多くの規制の中で造られる施設は、投資を回収するのに高い質を求めることになるだろう。その場合、島のあけっぴげな民宿の庶民性とは一線を画したエリアが出現し島の雰囲気を変えてしまうことにならないか。
ともあれ私たちは、竹富島が好きなだけに銘々が島の未来のようなものを夢見て大事にしている。しかし所詮部外者。この問題は新石垣空港同様、島に住む人と竹富町役場が島の将来をどう考えるのかにかかっている。
日帰り観光からの脱皮、雇用の拡大への期待などを望む声も無視はできない。一方で光熱、上下水、ゴミ問題と回りをぐるり海に囲まれた島ゆえの悩み、課題も山積している。
竹富島は八重山観光の試金石。利便さと量だけではいけないと感じ始めている。ではどんな質を求めるのか。(世)
…
沈伽羅
今朝の『八重山毎日新聞』に、
宮良永重氏の興味深い文章「沈伽羅さがしの旅」を
見つけました。
「沈伽羅」とは、「じんきゃら」とよみ、
高価な香木のことをいいます。
宮良氏は、八重山古典民謡《古見之浦節》の一節に
「袖振らば里之子/沈伽羅ぬ匂しおる」
という歌詞があり、
その「沈伽羅」に注目しています。
《古見之浦節》は、
「尚敬王時代に、平得目差、大宜味長稔の作といわれている
古見の浦は、公用で与那国島から帰途中、
悪天候となり古見の浦に避難した大宜味が
古見村の美人ブナレーマに介抱され、
その情を交わした2人の別離の悲哀を歌ったもの」です。
それゆえ、一般に先の一節は、里之子との別れに際し、
里之子が袖を振るごとに、その袖に染まった
沈伽羅の匂いが漂ってくると
解釈されています。
沈伽羅について、宮良氏は
「沈香木は、インドや東南アジアのジャングルに見える樹木で、この香料がけがれをとるものとして利用され、また薬品でもあり香薬といわれ、日本における最初、推古天皇時代に淡路島に漂着し、島の人々は長さ2メートル半もあった香木をただの流木と思い火に薪と一緒になげこんでしまった。すると大変かぐわしい匂いのする煙がたちのぼり、驚いた人々は、これを朝廷に献上したといわれている。現在、正倉院にある沈香木は、日本にある沈香のなかでも最大級のものとのこと」
と紹介しています。
さらに
「上質香木のことをどうして伽羅と呼ぶようになったのかは定かではないが、伽羅といえば“すばらしい”とか“すてき”“美しい”などの代名詞とされ、沈香は、香りの種類が特に質の良いものを“伽羅”と呼ぶようである」
と述べています。
ところで、竹富島の《弥勒節》にも「伽羅」が出てきます。
では、6番の歌詞をみてみましょう。
伽羅ぬ代取るそ (伽羅の名が与えられるのは)
鶉目ぬ沈香 (鶉の羽模様の沈香だけです)
親ぬ代取るそ (親の代を継ぐのは)
初ぬ産み子 初ぬ産み子(最初に生まれた男の子)
サーサー ユーヤー サースリ サーサー
『芸能の原風景』(改訂増補版)には、
「伽羅」は「香木の一つ。我が国でも珍重された」と
説明されています。
また、「鶉目ぬ沈香」(ウズラミヌジンク)については
「鶉の羽模様に似た木目の沈香、の意。
最も珍重された沈香」とあります。
それにしても、伽羅の名が与えられのは、
「鶉目ぬ沈香」だけだという
見識はどこから得たのでしょうか。
ますます興味は深まっていきます。
ちなみに、最古の琉歌集『琉歌百控』の
「独節流」(1798年)には
《沈仁屋久節》として、次の2首が記録されています。
○沈や伽羅灯そ 御座敷に出て 躍るわか袖の 匂の塩ら舎
○沈や伽羅留て はなの物語り いつまてん互に あかの匂ひ
(YI)
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新年・成人祝い
今朝の『八重山毎日新聞』に、
「竹富町の各島で成人式」のタイトルで
竹富島、黒島、小浜島の各島から
成人祝い報告がありました。
竹富島の成人祝いは、2日夜、まちなみ館で
ぶなる会(婦人会)・青年会が共催で開かれました。
芸能づくしの祝賀会は、竹富島らしく
華やかに、にぎやかに、楽しいお祝いとなりました。
プログラムは次の通り。
【式次第】1.…
古謡から学ぶ島の生活環境
本年の取り組みのひとつを紹介します。
竹富島の風土や生活を豊かに表現した古謡をうたいながら、
島の環境を学ぼうというプログラムです。
(トヨタ環境活動助成プログラム「竹富島の生活環境史」)
みんなで古謡をうたい、
そこでうたわれたかつての農村風景に
思いめぐらせることができるよう、
島の先輩からしっかりならいたく思います。
さて、まちなみや織物をはじめとする、有形の文化遺産や
祭事や芸能、方言など、無形の文化遺産の多くは、
かつての農村生活のなかから生まれてきました。
沖縄県の本土復帰(1972年)前後のころ、
生活の基盤となる産業が、
農業から観光業に移行したことで、
生活スタイルが大きく変化しました。
このような状況のなか、
古謡のなかでうたわれている言葉や地名のなかには、
すでにわからなくなったものもあります。
うすれゆく歴史の記憶のなかで、
次世代への継承を考えたとき、
数多くの伝統文化を生み出した、
かつての農村の生活環境を想い起こすことは
有意義であることと思われます。 (YI)
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あけましておめでとうございます。
新年明けましておめでとうございます。
竹富島を愛する方々に新年のご挨拶を申し上げます。
本年は、継続して実施している『島立て学校』
と同時にトヨタ環境活動助成プログラム
~古謡にみる『竹富島の生活環境』~
を実施いたします。詳細については、後日ブログ
等で紹介いたしますが、竹富島の古謡を謡いながら、
島の生活環境を振り返りたいと考えています。
NPOたきどぅんスタッフ一同、
小さな竹富島における小さな出来事を
少しづつ、島の文化として浸透できるよう
本年も努力をしてまいりたいと思います。
本年もご支援、ご指導賜りますよう、
よろしくお願い申し上げます。
(TA)
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