石積みの呼吸
随筆家であり、こぼし文庫の創設者である、
岡部伊都子氏の著書に
『自然の象』(1980年・創元社)があります。
川西祐三郎氏の装画がしゃれていて、
思わず手にとりました。
岡部氏の著書ということで、
つい何か竹富島の記述があるのでは、
といった読み方をしてしまいます。
斜め読みをしていくと、
やはりありました。
「塀」という文章の末尾の部分。
「沖縄の民家をとりかこむ珊瑚礁石の低く分厚い石垣には、
風土のもつ力強い美しさがある。
同じ石垣でも、竹富島の石垣はよく整っていた。
石積みの呼吸に秀でた島の人々が、
“この塀に開けた入口は、人を幸福にする寸法だよ”
と言われたのが、なんともやさしい口調であった。」
備忘録としてここに記しておきます。 (YI)
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白川郷と竹富島
昨日、白川郷の「白川郷荻町集落の自然環境を守る会」
会長の三島敏樹氏にお電話差し上げました。
というのは、『八重山毎日新聞』に連載中の
「八重山の針路と選択」欄で、まちづくりのお手本として、
白川郷が採り上げられていたからです。
白川郷は、先日(9月4-6日)
交通システム導入の先進地として
視察させていただいたこともあり、
親しみを覚えます。
(フィリップモリス・ジャパン助成事業)
白川郷はすでに世界遺産に登録されています。
合掌造りの保存に対する取り組みや
それを活用して観光を推進することなど、
竹富島のまちづくりにも
大いに参考としたいところです。
『八重山毎日新聞』の「八重山の針路と選択」欄では
しばらく「白川郷編」がつづきます。
見逃せませんね。
これを契機にして
白川郷と八重山の交流が
深まることを思います。 (YI)
「八重山の針路と選択61」『八重山毎日新聞』2007.12.02
第3部まちづくり20 白川郷編
山すそに合掌造りの家屋と水田が広がる「白川郷」(岐阜県大野郡白川村荻町)。日本の原風景のような農村風景が1995年12月に世界遺産に登録され、そこに住む人々が普段の暮らしのなかでそれを守り、観光資源として生かしている。合掌造りの保存には、昔ながらの「結い」が生かされ、集落を挙げて合掌造りを守る連帯感が根付いている。
■村の過疎・解体化の危機
白川村は、45年から55年にかけた庄川流域の電源開発による複数のダム建設で多くの集落が水没。集団離村もあり、合掌家屋は、村外に転売・移築されたり、焼却されるなど、24年に村内に300棟あった合掌家屋が61年には191棟にまで減少。23区あった村内の集落も14区にまで激減し、集落の過疎化・解体化が急速に進んだ。
■村の存続をかけ
「村が消滅してしまう」との危機感から、荻町の若者たちが集落の存続に立ち上がり、71年12月に荻町区の住民総意で「白川郷荻町集落の自然環境を守る会」(以後守る会)を発足。妻籠宿の住民憲章に習い地域内の資源を「売らない」「貸さない」「壊さない」の3原則を掲げた住民憲章を策定。合掌家屋の保存運動とともに、合掌造りを活用した民宿等の観光立村を推進した。
当時、保存運動を展開した人々は、合掌家屋に住む人々を一軒一軒説得に当たる一方、民宿の人々や若者らが民謡などで全国を巡り、白川郷をPRしたという。
これらの活動が実り、76年9月4日に国の伝統的建造物群保存地区(伝建地区)に選定、95年12月9日に「白川郷・五箇山の合掌造り集落」が、国内6番目の世界遺産に登録された。
現在は、97年3月に立ち上げた(財)世界遺産白川郷合掌造り保存財団と愛する会が、連携し、保存に取り組んでいる。
■150万人の観光客と駐車場問題
白川郷には、年間150万人近い観光客が訪れ、思い思いに集落内を巡り、合掌造りの家屋を見たり、写真に収めたりしている。
しかし、電車がない関係で訪れる観光客のすべてが大型バスや自家用車を利用。ピーク期には駐車場から車があふれ、集落内での駐車が発生するなど、十分な駐車場の確保と、集落内の車両規制が課題となっている。
集落内にあふれる観光客が、一般世帯の敷地内に立ち入るケースもあり、住民のプライバシー保護も課題の1つとなっている。
また、観光を意識するあまり「2世、3世で保存の意識にズレがある」との指摘もあり、世界遺産を維持する上で、若い世代の保存に対する意識改革が最大の課題となっている。
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