筑紫哲也さんを悼む

ジャーナリストでニュースキャスターである
筑紫哲也さんが、7日の午後、肺がんのためお亡くなりに
なりました。享年73歳でした。
筑紫哲也さんは、朝日新聞記者として米軍統治下の
沖縄特派員として活躍し、沖縄の置かれた立場、また
こうしたなか逞しく生きる沖縄の人々と触れ合い、
沖縄を第二の故郷のように愛されていました。
竹富島とのご縁は、竹富島ファンが集う親睦団体
「全国竹富島文化協会」の設立にあたり、多大なご支援を
いただき、特別顧問として協会の活動をお見守りいただいて
いました。
筑紫さんが「全国竹富島文化協会」設立にあたり、次の
寄稿を残されています。
竹富島の文化のご理解いただいた筑紫哲也さんに
NPOたきどぅん理事ならびにスタッフ一同心から
哀悼の意を表します。
合掌。
(ta)


竹富島は異郷の世界を包含した小宇宙
私が復帰前の沖縄に足掛け3年住み、その後も年に5,6回行っている
が、日本のなかで一番人間らしい暮らしをしている地域は、沖縄だと
思っている。その最大の理由は、沖縄の社会と人々のなかに占める
文化の比重が「やまと」よりも、はるかに大きいということであろう。
明治以来の近代化政策によって失われた精神世界の奥行きが沖縄に
はあると思うのだが、沖縄の精神世界を支えているのは、小地域の
村々や島々に代表される小宇宙の世界であると思う。
竹富島の素晴らしさは、景観の美しさ、歌謡や伝説や芸能が豊富
に伝承されていることにあるが、それに加え、ムーヤマ(六御嶽)
の神々を中心とした小宇宙の世界があり、狭い人間世界に囚われず、
異郷の世界をも包含した世界観を持っているからだと思う。