『八重山毎日新聞』2007.11.23掲載記事

世界文化遺産登録学術検討委
竹富・波照間 芸能神事文化的景観を強調
イノーと生活のかかわり明示
 竹富島と波照間島の集落や生活、信仰などからなる文化的景観を世界文化遺産に登録するため、提案書の練り直しを行ってきた竹富町世界文化遺産登録推進学術検討委員会(委員長・上江洲均沖縄民俗学会会長)は22日午後、町役場で開いた第4回会合で、イノー(礁池)と芸能や神事とのかかわり合いを明示することによって両島の文化的景観を強調していくことなどを確認し、協議をほぼ終了した。今後、事務局の竹富町教委で提案書の改訂版を仕上げ、12月18日までに文化庁に提出する。
 世界文化遺産の登録では、各国政府が登録を求める物件を盛り込んだ暫定リストを作成し、同リストの提出を受けたユネスコの世界遺産委員会が登録の可否を決める。
 文化庁は前年、全国の自治体から日本政府の暫定リストに盛り込むことを希望する物件について提案を受ける公募を実施した。沖縄県と竹富町は文化資産「黒潮に育まれた亜熱帯海域の小島『竹富島・波照間島』の文化的景観」を提案したが、暫定リストには盛り込まれなかった。
 このため、同委は今年3月の第2回会合以降、提案書の練り直しを続けてきた。
 第4回会合で練り直された提案書は題名を「竹富島・波照間島の文化的景観―黒潮に育まれた亜熱帯海域の小島―」とし、黒潮より2島そのものを強調していく。A4版、25ページ。
 委員からは、イノーの位置づけについて、「イノーと生活が具体的にどのようにかかわっているかを示さなければ、竹富と波照間の2島に限定して提案する根拠がもろくなる」(比嘉政夫沖縄大学教授)との提起があったことから、「イノーが芸能や神事と直接かかわり、それが今も生きているという表現がいい」(益田兼房立命館大学教授)、「イノーと生活文化や遺跡がトータル的にあるという考え方で差別化してはどうか」(狩俣恵一沖縄国際大学教授)などの方向性を確認した。イノーとのかかわりでは、海で行われる布さらしや、海で魚介類を捕っている生業の様子を示した写真を盛り込み、イノーとのかかわりを説明するよう求める提案もあった。

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