かりゆし館のキャッシュレス導入の話

「申し訳ありません、うち、現金だけなんですよぉ・・・」

「じゃ、いいでーっす」

と、某CMのようなやり取りを何度したことだろう。

キャッシュレスの波がこの小さな島にも押し寄せてきました。
その波はコロナの頃を境に、さらに大きくなり、携帯一つで島へ上陸する強者も現れはじめたのです。
「信じられん!!」と目くじらをたてたりもしていたのですが、コロナも終わり、インバウンドという波がザブンと打ち寄せたことで、いよいよこちらも波に乗る準備をしなくては・・・と。
いろいろ考えた結果・・・晴れて、小さな島の小さな売店にキャッシュレス決済の機能がついたのでした。

何事も初めてというものは戸惑うものです。
「カードで・・・」と言われる度に緊張し、パネル操作に手間取ってしまったり、レジに集中するあまり、船のチケットを渡し忘れてしまったり。
あるときは、お客様が帰られた後、決済がうまくいっていない事がわかり、とても高いお勉強代となってしまいました。

数々の失敗を経て、次第に慣れてくると良いことも。
一番は外国のお客様との決済が簡単に行える事です。
外国の方はほとんどがカード払いです。
これまで、カード決済ができない為に、お買い物を諦めてしまっていたお客様も、ニコニコカード払い。
見たこともない日本の紙幣や硬貨に戸惑う事もなく、本当にスムーズです。

そして、今まで現金だけの時は、スピードを重視するあまり、サッと暗算で計算してしまい、レジを打ち忘れる事が多くあったのですが、カードは絶対にレジに打ち込まなければ決済ができないので、打ち忘れるという事がなくなりました。
国内のお客様も含め半分の方はキャッシュレスをご利用になります。燃料高騰の為、以前より船のチケット代が高くなったという事を差し引いても、売上が上がっている、という手ごたえを感じています。

キャッシュレスを導入して、もう一つ感じた事があります。
なんとなく、目をみてコミュニケーションをとることが少なくなった気がするのです。
今までお代を受け取るにも、おつりをお渡しするにも手から手へ・・という時間がありましたが、カードでは必要ありません。
暗唱番号を入れる時などは逆に見ない様に目を伏せる事も。
カード決済を始めてなんとなく心の距離があるような気がするのです。

そんな寂しさを感じ始めた時、気が付いた事がありました。
外国の方はキャッシュだろうがキャッシュレスだろうが、きちんと顔を見て「サンキュー」「バァイ」と言ってくれる。なんと気持ちの良いことでしょう。
なるほど、少しの心がけ次第でこんな素敵なやりとりができるのね、と改めて感じました。
便利な世の中になれど、人と人の出会いは一期一会。
顔や目をみて、素敵なコミュニケーションをとりたいものですね。