玻座間村VS仲筋村

竹富島のタナドゥイ(種子取祭)の奉納芸能は、
世持御嶽の聖域に設けられた特設舞台で、
第7日目は玻座間村、第8日目は仲筋村が担当することになっています。
竹富島の豊かな芸能は、二つの村がタナドゥイの舞台で競演することにより
育まれてきた側面があります。
そのため、両者の対抗意識を物語る、数多くの逸話が語られています。
かつて仲筋村では、タナドゥイに向けての芸能の稽古中、
「ウヌソンアリッティ、ンブフルヌ坂ー、越イラリルンダー」と
よく言ったそうです。
「ンブフルヌ坂ー」とは、仲筋村と玻座間村の境界にある丘のことですが、
先の言葉は、この程度の芸でンブフルの丘が越えられるか、
という意味です。
これには、この程度の芸では玻座間村に負けてしまうぞ、
ということまで含まれており、
そこにはただならぬ対抗意識がうかがえます。
一方、このように互いに芸を競いながらも、
タナドゥイが済むと、玻座間村の長老から、
「仲筋ヌ踊狂言ユ、見ッタァドゥ、種子取ッティ思リル」と
仲筋村への賛辞がかけられたといいます。
これは、仲筋村の踊り・狂言を見たからこそ、種子取祭だと思われるよ、
と仲筋村の芸能を称えた言葉です。
このように島には、集落単位の対抗意識と同時に、
それを乗り越えてまとまろうとする力が働いています。      (YI)

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