日別アーカイブ: 2008/02/06

『竹富島・小浜島の昔話』のこと。

第12回星砂の島文化講演会の講師・福田晃氏は1975年・1976年に、立命館大学・大谷女子大学・沖縄国際大学の学生を募り、八重山の島々に伝承されてきたムニンガタイ(民話)の聴き取りを行いました。
その成果が『竹富島・小浜島の昔話』(1984年・同朋舎出版)に結実されています。本書は「南島昔話叢書」第9巻として刊行され、竹富島の昔話46話、小浜島の昔話62話が収録されています。
ここでいう昔話とは、神話・伝説、本格昔話、世間話、笑話、動物昔話などを総括したものを指します。
福田氏は編者代表として「あとがき」に「本書は、立命館大学・大谷女子大学・沖縄国際大学の若い学生たちのエネルギーと、竹富町教育委員会・八重山文化研究会・竹富島小浜島の公民館・老人会など地元の皆さんの協力と、竹富島・小浜島出身の若き学究者の情熱との三つが統合して成ったものである」と述べています。
ちなみに、この竹富島出身の「若き学究者」は、仲筋出身の狩俣恵一氏のことです。
本書最大の特色は、本を開いたとき、上段には語り手が方言で語ったものを忠実に翻字したもの、下段には編者らが共通語訳したものを配して構成したところにあります。テードゥンムニの味わい深さを活かした編集になっています。
一話ごとに、語り手の名前も記録されていますが、残念ながらこれらの先輩方はすでに故人となられています。本書はそれだけに貴重な記録だともいえます。
本書に収録された竹富島の昔話の題名と語り手を、ここに記しておきます。
01 竹富島の島建(上勢頭亨)
02 仲嵩の由来(大山功)
03 御願崎の石上げ(与那国清介)
04 ニーウスビの神(大山功)
05 種子取祭と六人の神(大山功)
06 石垣・幸本御嶽の香炉(東盛弘介)
07 犬の井戸(前野長用)
08 アーパー石(東盛弘介)
09 世果報の神とサン(前野長用)
10 ムカデ旗の由来(大山功)
11 鉄人の根原神殿と与那国島(大山功)
12 花城の神と川平カニーブの船漕ぎ競争(大山功)
13 多良間モーシ(大山貞雄)
14 ハブ聟入(生盛康安)
15 子育て幽霊(与那国清介)
16 継子の井戸掘り(加治工政治)
17 按司の身代わり花嫁(大山功)
18 藁しべ長者(前野長用)
19 産神問答(前野長用)
20 大歳の客(1)(狩俣カマド)
21 大歳の客(2)(与那国清介)
22 ユヒトゥンガナシの恵み(大山功)
23 ある男の仇討ち(加治工政治)
24 首のない影(前野長用)
25 働かずには食えない(大山貞雄)
26 真栄里ギシャーの大力(東盛弘介)
27 竹富武士と屋良部武士の力くらべ(前野長用)
28 人間の腰(大山功)
29 烏に仕返し(東盛弘介)
30 唐の不思議(与那国清介)
31 小さい時計は時間が早い(大山功)
32 玻座間蛙と仲筋蛙(大山功)
33 シジランと南京虫と蚤(与那国清介)
34 白鷺とヨーラとクビラと鳩(東盛弘介)
35 老烏の知恵(生盛康安)
36 十二支の由来(石川明)
37 鷲と海老(大山貞雄)
38 蝙蝠の二心(根原ハツ)
39 猿の生肝(前野長用)
40 竜宮の祝い(1)(与那国清介)
41 竜宮の祝い(2)(石川亀美屋)
42 雀孝行(大山功)
43 雨蛙不孝(前野長用)
44 雲雀と若水(上勢頭亨)
45 犬の脚(石川明)
46 鶏が鳴きだすわけ(大山功)
「解説」によると、竹富島における昔話の伝承の系譜は、家系に沿うところが大きいといいます。
しかし、本書にもっとも多く収録されている、大山功の伝承の系譜は、「血縁関係よりも地縁的結合によるものが、その中心となっている」そうです。
大山功氏は、昔話を祖母や父母から聞くことよりも、「村の古老・先輩・友人から聞き取ったものであり、特に近くの東金城加那や勢頭真牛からのものが多く、夕食後、その家を訪ねては話を聞かせてもらった。あるいは、西表島へ出作りに赴く舟の中で、あるいは、稲作・畑作の仕事のなかで、また山の木伐りの作業の折に、話を聞くこともあったという。しかも、それらの伝承話を自分の自分の子や孫に語ることはなかったが、村の祭りや畑仕事の折、あるいは出作りの赴く舟の中で、村の人々に、これを語っているのであった」とユニークな伝承のあり方です。
この『竹富島・小浜島の昔話』のほか、竹富島の昔話を記録した、『竹富島誌 民話・民俗篇』『蟷螂の斧』、またNPOたきどぅん発行の『テードゥン昔ムヌンガタイ』などを大いに活用し、生き生きとした昔話の継承につとめていきたいものです。                  (YI)

星砂の島文化講演会について

今朝の『八重山毎日新聞』には、
9日に開かれる全国竹富島文化協会主催の
「星砂の島文化講演会」への誘い文が
掲載されています。
文章は全国竹富島文化協会理事長の高嶺方祐氏です。
■「テードゥンムニの継承と昔話」の講演会へのお誘い
 『八重山毎日新聞』2008.02.06
 全国竹富島文化協会は、1996年に創立され、昨年は、10周年を記念して、浦添市てだこホールで「竹富島種子取祭の芸能公演」を行うとともに、東京で、国学院大学を会場に「星砂の島文化講演会」を開催しました。
 これまで11回の講演会では、種子取祭芸能や町並みと経済、うつぐみ、西塘、衣食住の歴史などの講演やシンポジウムを竹富と那覇で行ってきましたが、今年からは東京でも恒例行事として開催することにしています。
 今回の「星砂の島文化講演会」のテーマは、「テードゥンムニの継承と昔話」です。竹富島に限らず、沖縄の島々における「シマ言葉」の再生方法はないのか。それを考えるための講演会です。
 講師は、立命館大学名誉教授の福田晃先生です。先生は、昭和50年と51年に、立命館大学、大谷女子大学、沖縄国際大学の院生と学生を募って、八重山の各シマジマに伝承されてきた民話(ムニンガタイ)の聴き取りを行い、伝承を終えようとした八重山の優れたムニンガタイの数々を記録に留めてあるそうです。
 竹富島での聴き取りは、多くが故人となられていますが、前野長用、大山功、生盛康安、加治工政治、東盛弘介、与那国清介、大山貞雄、上勢頭亨さんたちからでした。
 福田先生の講演の演題は「竹富島のムニンガタイ―その伝承の再生を期す―」です。40年余り前に録音した先輩方のムニンガタイを聞きながら竹富島の「口伝えの文化財」をいかに継承すべきかを皆さんと一緒に考えたいと思います。
 福田先生は、今回の講演への抱負として、次のように述べておられます。「ムニンガタイの文化財としての意義は、口伝えによって継承されることにあり、真の伝承の意義はシマクチによって維持されることであるに違いない。ふるさとの文化は、ふるさとの言葉(シマクチ)に宿っている。ムニンガタイを通してシマクチの再生を期待したい」。
 講演会は左記の通りです。文化協会員はもちろんですが、関心のある方多数参加されるようお誘いいたします。
  日時○2月9日(土)午後6時30分
  場所○竹富島まちなみ館
   ※ 入場無料、終了後懇親会。
     午後9時30分に石垣行き用船があります。