日別アーカイブ: 2007/12/22

八重山から。八重山へ。

先月、『八重山から。八重山へ。-八重山文化論序説-』が、
南山舎から出版されました。
著者は、詩人でもある、砂川哲雄氏。
本書には評論・書評、随筆などを中心に、
101編がまとまっています。
そのなかに竹富島に触れられているのも、
いくつかあります。
「ンダローマゆんた」「八重山歌謡におけるエロティシズム」
「遊女たちのうた」の評論3題では、
竹富島の古謡「ンダローマゆんた」に注目し、
共同体に流布された歌謡の性格や
猥歌とは一線を画する、
八重山歌謡のおおらかなエロティシズムを論じています。
論文「文芸同人誌“セブン”の誕生と八重山近代文学の出発」では、
竹富島出身の金城亀千代の足跡が気になるところです。
沖縄の近代文学史をふりかえるとき、
文芸同人誌『セブン』(1926年創刊)を
避けて通ることはできません。
ここでは、それに参加した同人たちにスポットをあて、
八重山の文学活動史を浮き彫りにしています。
そのなかで、次のような『反戦資料』を引いています。
「昭和16年8月、八重山郡、竹富町字竹富出身で、現在師範学校在学中の竹盛浩、金城亀千代、医学専門学校の大底定美、水産学校の学生の大浜武治などの12人は、書中休暇中帰村するや、村の小学校で音楽会をひらき、民衆をあつめてつぎのような演説をやった。(後略)」
ここに現われる、金城亀千代は『セブン』で
「“世紀末的島の心臓”“犯罪地帯”などの注目すべき作品を発表した。のちに九州わたり、鹿児島で発行されていた新屋敷幸繁編集の“南方楽園”(昭和2年6月号)に“市街”という詩を発表したり“前月時評”を書いたりしているが、一時期は発行人としても名前が見える。また筆者(砂川氏)宛の西里喜行書簡によれば、福岡あたりで演劇グループにもいたり、桜木康雄というペンネームで月刊雑誌にも投稿」するなど、
バイタリティあふれる活動を展開しています。
しかし、西里喜行氏は、砂川氏宛の書簡のなかで、
『反戦資料』の昭和16年という記述には、
問題があると指摘しています。
そして砂川氏は「金城亀千代の足取りの詳細は
現在のところまだよく分からない」と述べています。
書評「“大塚勝久写真集 うつぐみの竹富島”のこと」では、
砂川氏がつねに側に置き、折に触れて開いてきた、写真集として
大塚勝久氏の『うつぐみの竹富島』をとりあげて、
論じています。
そこには鑑賞が芸術論にまで及び、
大塚氏の人となりも触れています。
一読をおすすめます。                (YI)  

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